雪洞堀りでした。
めざましテレビ(フジ)。
スキー場のコース外滑走での遭難事故などの発生が多いため、テレビ局が雪洞掘りの撮影をしたいということなので依頼を受けました。
先日の野沢温泉で雪洞を掘って生還したご家族の件をうけての企画らしいです。
その日の午後に依頼の電話がかかってきて、明日の朝の放送に間に合わせるという、かなりタイトなスケジュール。
単純に短時間で雪洞を掘るのなら、土合辺りの道路近くの山の斜面でやるのが一番良いのですが・・・
「スキー場のコース外滑走をして迷った人の為」という設定なので、スキー場脇での撮影が必須らしい。
ナイターをやっていて、東京からの行き来がそれなりに早くできる所で撮影の許可が降りたのがノルンスキー場でした(急な話しでしたしね)。
うぅん・・・ノルンだとちょっと雪が足りない。
誤解が無いように言っておきますが、コース上にはキュキュキュっと音が鳴る上質の雪が十分あります。
しかし、雪洞を掘るとなると2メートルや3メートルの積雪が欲しいけど、そこまでは無いのです。
撮影現場に雪山用のシャベルを持っていったら「遭難したスノーボーダーという設定なので、これでお願いします」とボードを渡される。
わぉ・・・確かにスキーヤー、スノーボーダーでシャベル背負ってる人って早々いないですよね。
「え?これで掘るんですか?」と言ったシーンはカットされて「これで掘ります」というシーンが使われてました。
実際、コース外滑走の遭難者で板で掘った事例は沢山あります。
降ってから日数が経過した雪の層は結合が強くなり、板なんかで掘ろうとしても時間ばかりが経過して中々掘れませんが、今の雪の状況なら比較的掘り易いので、ボードで掘ることを了承。
この辺の説明はカットされました。撮影では割と簡単に掘ってますが、ボード板だけであんなにすぐに掘れるわけではないので誤解しないようにお願いします。
積雪が浅かったので、中で座るほどのスペースは作れず。
仕方ないので寝そべって入りましたが・・・
雪洞の壁や床との接触面積はなるべく小さくしないと体温を奪われるし、ウェアも濡れてしまうので、本来は体育座りです。
断熱性の高いマットや、大き目のザックなどが敷けない場合は横にならないように、という説明もカットされちゃいました。体の表面積が大きいと熱が逃げやすいので、横になると表面積が増えてしまうので寝袋などがなければ基本は体育座りです。表面積と体積の割合による放熱の差も説明はしましたが、さすがにそこまでは放送に使われませんでした。
放送の尺が短いのと、一般の人達にあまり専門的な説明を長く入れても伝わりきらないので、だいぶ短くまとめたらしいです。
局側としては、外部と内部の温度差が撮影できるのが、一番の目標だったらしいので、それはクリアできました。
外部マイナス4.6度。内部プラス1.2度。
十分、生死の分かれ目ですね。
*追記:傾斜のある場所を選べない場合や、雪が少ない場合、一人で短時間に掘る場合などは、無理して雪洞を掘るよりはツリーホールを利用した方が良いという説明等もしましたが、今回は4人で入れる雪洞を掘りたいということで、その辺の下りは使われませんでした。
また、最初に雪洞を掘る場所の注意点なども細かく説明しましたが、尾根や稜線、沢、雪庇などの単語が一般の人にはほぼチンプンカンプンであるとか、
スキー場のコース外で迷った場合、樹林帯の途中で掘ることになるから、稜線の風下側とか、雪庇を避けてとか等のシチュエーション選びは意味が無いだろうということで、そう言った説明も使われませんでした。
お礼のお菓子をいただきました。
2017年1月19日。