尾瀬ガイド協会更新研修。
2019/11/30。
ガイド業が閑散期になるこの時期、各種更新や研修会の季節になります。
尾瀬ガイド協会群馬県支部の資格更新研修の一環で、ファーストエイドと救急搬送の研修でした。
群馬岳連で指導をしている方達に講師として来ていただき、自然解説ガイドとしては中々意識できない登山に潜む危険やその時どうすか等。
午前中は登山医の先生から、山で起きる傷病やそれに対処する方法など。
午後は搬送方法。搬送されてるモデルが私です。
搬送と言うと、登山口まで運んで下山することばかりを想像して、「そんなの出来ないから」とやることすら選択肢に入れない人も多いですが・・・。
負傷者を危険な所から数メートルだけ位置を変えるとか、このまま野外に放置しておいたら危険(風雨、もしくは日射等)な場合に数十メートル先の木陰や風下に移動させる、数百メートル先の山小屋まで運ぶ。
『これらも立派な搬送法なんです』と説明する講師の先生。
色んな搬送法がありますが、手軽さと運べる距離は相反しています。
どれかが優れているわけではなくて、素早く短距離運ぶ方法・しっかりセットして長距離運ぶ方法、その中間の何種類かの方法。
それら全てがガイドとして抑えておく必要があります。
様々な搬送法が有りますが、持っている資材・運ぶ人数や距離・傷病者の状態・天候などによって現場で様々な判断を下さねばなりません。
同じ距離を運ぶのでも、適切なやり方をすることによって、より早く・より楽に運ぶことができます。
二人で運ぶとき。
3人で運ぶとき。
狭い登山道や木道だと、このザック搬送がやりやすいですが、やり方をしっかり把握してないと出来ませんし、危険です。
スリング等も持っていないと出来ません(何かで代用も出来るかもしれませんが、スリングを使用するのがよいでしょう)。
しっかりと固定できれば、意外に楽に運べます。
更に大掛かりな担架搬送。
ザック担架。
ストック担架。
「尾瀬では山小屋やビジターセンターに行って担架を頼めば良いんだ」
というガイドさんも居ますが...
尾瀬ヶ原辺りしか歩かないガイドさんはそれでも良いかもしれませんが...山岳地帯はもちろん、見晴から尾瀬沼へ抜ける道、小沢平へ抜ける道、その他外れの方の道...
そんな場所では山小屋を呼びに行って戻るのに凄く長い時間がかかります。
もし、他に複数の傷病者が居て担架や背負う人が出払っていたら?など考慮すれば、他人任せで考えていてはガイドとして成り立ちません。
一生使うことなくガイドを終えることが出来れば一番ですが、だからといって知らなくて良いということではありません。
こういうことをやるつもりが無い=できるけど使うことが無いようにガイドをしたい、というのは結構ですが・・・
こういうことをやるつもりが無い=だから覚えない、ではガイドでは無いと思います。
怪我でもなんでも、起きてから対処するより、起こさないようにするのが大事です。
これからスノーシューなど冬のガイドが始まります。
休憩時、もし風が吹いて寒いような状況で立ち止まって居たら、あっという間に体温が下がってしまう日も有ります。
「そんな日にぼけーっと長時間お客さんを休憩させてたら、ろくなリーダーじゃありません」と講師の先生の弁。
搬送しないといけなくなる前に、上の画像のように最初からツェルトで包まるなどして休憩すれば良いわけです。
まさにその通りだと思います。
某・気温の低い観光地のスノーシューで自然解説ガイドの先生が、寒い風の強い日に、長時間立ち止まって自然解説をしていて、お客さんが物凄く寒いがっていて後ろで「寒いですよね?ねぇ寒いですよね?」などとヒソヒソ話ていた、なんていうのを思い出しました。
ガイドは何をするにしても、常に頭の中では色々なリスクを考えて行動しないとですね。
2019年11月30日。