至仏山の花。
2019/7/3日。
大清水から尾瀬を縦断してきて、解禁直後の至仏山へと。

お天気は曇りですが、汗かかずに登れそうな感じです。

ダイモンジソウ。
東面登山道には、樹林帯から蛇紋岩帯にまで咲いているのですが、蛇紋岩帯まで行ってもウラベニではない普通のダイモンジソウです。
ウラベニダイモンジソウを蛇紋岩変形種で、至仏や谷川特有と紹介されることも多いですが、結構他の山にも咲いてます。
蛇紋岩にも対応してる、というだけで蛇紋岩変形種とは若干ずれるのかもしれませんね。

東面登山道は樹林帯にも若干蛇紋岩が転がっていたりとか、影響を受けてます。
というわけでこの花なのですが...クモイイカリソウっぽい葉(刺毛が無い丸っぽい葉)と、先が尖って毛が生えてるキバナノイカリソウ的な葉が両方あります。
中間種なのか、それとも二種類が並んで生えてる(別葉っぱ)なのか...。
クモイイカリソウとその母種のキバナノイカリソウは学者さんの間でも意見が分かれてて、変種と認めない人や岩手県の山(恐らく早池峰山)のものを含める人含めない人と居て、とにかくややこしいです。

ベニサラサドウダン。
樹林帯から岩稜帯、そして稜線の風衝地まで、幅広い範囲で咲いています。

イワイチョウ。

蛇紋岩帯に来て、文句なしのクモイイカリソウ。
花も淡いクリーム色になってます。
花の色は、新鮮さとか光の加減によって微妙に変化するので特定に使うのは不向きですが、葉は完全にクモイイカリソウです。

マルバヘビノボラズ。
この花も、至仏や谷川岳などの蛇紋岩の山に特産...と紹介されることが多いのですが、
それほど特産というわけでもないようです。

ユキワリソウ。
東面登山道でハクサンコザクラを探す人も居ますが、こっちで見かけたことは無いと思います。
*「無いっていう証明」は難しいので言い切ることは出来ませんが、少なくとも登山道沿いにはそうそう咲いてないと思います。

チングルマ。
お客さんの知名度も高く、人気の有るお花です。

至仏山に来たら、まずこれを見よう!というオゼソウ。

ハイマツノ花。
何気に、綺麗な赤です。

タカネシオガマ。

ジョウシュウアズマギク。
蛇紋岩変形種で、至仏・谷川三羽烏なんて呼ばれてる代表的な花ですが・・・
ゲノム解析の結果、母種のミヤマアズマギクとの形態的変異は無い?という論調に現在はなっているらしいです。
『形態よりも地理的な変異』という感じでジョウシュウアズマギクの名前が認められてるけど、今後はどうなるか分からないとか。
いや、名前は残してほしいですね。

ムシトリスミレ。

ムラサキタカネアオヤギソウ。至仏山が基準標本の地です。

ハクサンチドリ。

コイワカガミ。

山頂直下と、小至仏南側と二か所に雪渓が残ってました。

雪渓の脇には、季節外れのミネザクラ。

イワハタザオ。

ツガザクラの幹から変なピンクの花が出てる!?
と思って一生懸命写真撮ってたら、単にヒメシャクナゲが一本だけ紛れてただけでした。

ホソバヒナウスユキソウ。

稜線に入ると、ウラベニダイモンジソウが咲いてます。
ウラベニと言いながら、表に紅いのが滲んでたり又は表も真っ赤なのが有ります。
また、当面登山道の普通のダイモンジソウも、裏側の葉脈に沿ってちょっと赤くなってる個体があります。
この赤さには何か単純な理由があるのかもしれませんね。

コケモモ。
この花を見るとなんだかホッとします。

小至仏を南に下ったところに有る雪田の場所。
ミツバノバイカオウレンは、多分登山道上ではここでしか見れません。

つい最近まで雪田があったことを思わせる、季節外れのショウジョウバカマ。

シナノキンバイ。
この花も、風下側の雪田地形に良く咲く花です。

ハクサンコザクラ。
これも、岩場よりもこういう雪原の個所に咲きます。

オオバキスミレ。

ジョウエツキバナノコマノツメ。
これこそ、至仏・谷川のお花!という感じなんですが...図鑑等には殆ど載りません。
区分が種・亜種・変種・品種と下に行く毎に珍しさのランクが低くなっていくわけですが...
これは変種の更に下の品種扱いなんだそうです。
それでも、谷川や至仏固有の『品種』ということで胸を張ってお客さんに紹介しても良いと思うのはガイドの立場だからでしょうか。

ここまで下ってくると、蛇紋岩変形種になっていないキバナノイカリソウ。
この至仏に来ると、変種か品種か同種かとか、学者さん達の意見のせめぎあいをヒシヒシと感じます。
2019年7月3日。