越後駒ケ岳。
2021/9/20。
北陸からのお客さんの依頼で、新潟県の越後駒ケ岳に行ってきました。
百名山の一つですね。
歩き出しは真っ暗なうちなので、しばらくして明るくなってから写真撮影。
奥只見方面の尾根には雲海が見えてます。
朝日を浴びるオヤマボクチ。
ハバヤマボクチとオヤマボクチとどちらかなのかは考えないようにしています。
どちらも環境に合わせての変異が大きいので見分けポイントが曖昧になることが多く、種の違いとしても無理に分けて考える必要が有るほど差が無いそうです。
歩き出しの尾根はそれほど標高も高くないので、まだ紅葉が始まってません。
でも、ナナカマドの赤い実が綺麗ですね。
今日のお客さんの中に、木の実が有ると「あ!木の実!」とパクンといきなり食べてしまう人が居ました。
ナナカマドは軽い毒があります。
大量に食べないと人間の体に影響が有る程ではないとは思います。
実際、私は北陸の旅行会社の仕事をした時に、マスの押し寿司にナナカマドの実が乗っているのを食べたことがあります。
それでも、毒が有ると記載されてるものを食べていただくわけにはいかないので、お客さんには食べるのを遠慮願いました。
雲に隠れていた越後駒ケ岳が顔を出してきました。
雲海もだいぶ晴れてきました。
スタート時は雲海の中から一つ飛び出て立派に見えてた山があって、お客さんが「あの山は何ですか」と聞いてきたのですが…
現在地よりは標高が高いのと、雲海から飛び出てるせいで凄くかっこよく見えますが…「あんなのは南の尾瀬方面(会津駒近辺)からずっと延びて来てる山脈が最後に終わる辺りのちょっとした出っ張りですよ」と答えました。
帰宅後に調べたら、桧岳というらしいですね。
勿論登山道は有りません。
お客さんの目を引く、ニオイコブシの実。
タムシバという名前の方が良く図鑑に載っているようですが、コブシの仲間というのが直感的にお客さんに伝わるニオイコブシという名前を私は良く使います。
その後「別名タムシバです」と付け加えます。
中ノ岳がぐっと近づいてきました。
お客さんの中にはアレが目指す山頂だと思って、まだあんなに歩くの!?と思う人が結構います。
中ノ岳から左手に目をやると、明日登る平ヶ岳が見えています。
駒の小屋に到着。
綺麗で良い山小屋です。
稜線に向かう最後の登り。
草紅葉はまだ始まってませんが、カエデ類などの黄葉は始まってました。
稜線に入れば、山頂はすぐ。
登山してきたルートは逆側に有る八海山も見えてきました。
中ノ岳と併せて越後三山です。
草原を振り返ると、道中は高くそびえて立派に見えた荒沢岳が低く見えてます。
左奥には会津駒ケ岳。
山頂到着。
神様が祭ってあります。
神話とかそれほど詳しくないのですぐに名前を忘れてしまうのですが、豊穣の神です。
稲作地帯の水源地である神様としては相応しいですね。
雲海の中からお隣の巻機山。
巻機の左には谷川岳から一ノ倉岳・茂倉岳。
巻機と重なった奥には仙ノ倉と平標が見えてます。
私は乱視が入ってるのでこの時は気づかなかったのですが…茂倉と巻機の奥に八ヶ岳(赤岳)が見えてますね。
北陸から来た皆さんにはおなじみの、妙高と火打山が見えてます。
その左には白馬本峰、白馬大雪渓、杓子、白馬鑓、不帰キレットから唐松岳、五竜、鹿島槍まで見えて贅沢セットです。
この後、槍ヶ岳から穂高までの山脈もうっすら見えたのですが、写真にはほとんど写せませんでした。
雪田地形の草原の中に、まだ白い花が残ってました。
イワショウブとセリ科の仲間。
遠目だけどミヤマウイキョウかな?
葉が良く見えないと分かりません。
オニアザミ。
上信越の山脈にはジョウシュウオニアザミが咲くのですが、ここ越後駒ケ岳はどちらのオニアザミが咲くのか…ちょっと調べてません。
上から眺めた駒の小屋。
可愛いですね。
青いまだら模様になっててちょっと毒々しい実が有り、お客さんが口に入れようとしたのを止めましたが…
「私はこれ何の実か分かりませんが、お客さんは分かりますか?」
「分かりません」
「じゃあ食べるのはやめましょう」
家に帰ってから調べたらサワフタギの実で可食という記載を見つけました。
でもあまり食べる話を聞かないし、サワフタギに良く似た別の実という可能性も無くは無いので、確実に食べられるという情報が有るまではお客さんには食べさせないようにしています。
「毒が入っている」証明がされた植物は多いですが「毒が絶対に入っていない」という証明をわざわざ学者さんがしたケースはそれほど無いのです。
逆に無毒なのに近年まで有毒と思われてた花などもありますし、長年可食とされてきたのに後から毒認定されたキノコなどもあります。
人間、万能ではないし分かっていないことも多いのです。
2021年9月20日。晴れ。
新潟県:越後駒ヶ岳。枝折峠~山頂ピストン。