一ノ倉コース。
2019/03/31。
すっかり春の気配が近づいてきて、低山のハイキングコースもそろそろ終了かなという時期です。
10年ぶりくらいのリピーターのナガヤマさんとマンツーマンで一ノ倉コースへ。
以前は谷川岳の山頂に向かうコースでのご参加でしたが、今回はスノーシューのハイキングコースです。
曇ったり、日がさしたりのお天気。
某お山の天気予報サイトで悪い予報が出ていたらしく、直前でキャンセルの連絡をいただいたのですが、前日になってそれほど悪くない予報になったらしくて来ていただきました。
その予報サイトは私は見ていないのですが、私の事前の説明は「すっきり快晴では無いけど曇ったり太陽が出たりで、岩壁も山頂までくっきり見るのは無理だけど、まったく見えないわけではない」でした。
太陽が出ると、木々の影が雪の上に落ちます。
雪崩跡を遠くに見ながら。
よくお客さんに聞かれるのですが(場合によっては初心者のガイドにも)・・・
「この時期が雪崩が危ないんですよね?」というのがあります。
この時期の雪崩跡は派手で目立つし、いつまでも隠れずに残っているというだけです。
厳冬期(12月、1月、2月)からも雪崩は起きます。
回数はむしろそっちのほうがよっぽど多いです。
雪崩の到達範囲も一般的には厳冬期の雪崩の方が遠くまで到達します。
泥が付いた大きなブロックの塊が転がっていて、なおかつそれが新雪で隠されずにいつまでも目立つのがこの時期というだけです。
回数も、危険な範囲も厳冬期の方が多いのを頭に入れておいてください。
マチガサワで谷川岳を背景に撮影。
と言っても、山頂は見えずに中腹の岩が雲の中から浮かんでいる感じです。
マチガサワを渡って前進。
普段ならば、いろいろ自然解説をしながらゆっくり行くのですが...今日は超早いペース。
なぜかと言うと、早めに到着したほうが壁が確実に見れそうだからです。
途中にある雪崩跡。
確かに、こういうのを見ればこの時期の方が雪崩が多いと思ってしまう人も居ると思いますが...
この雪崩、春のこの時期の雪崩は川を渡ってこっちに到達することはあまりありませんが(ブロック塊が何個かギリギリ飛んでくることは有り)、厳冬期は川を渡って普通にこちら側を破壊したりします。
目的地の一ノ倉沢の向かいに有るゼニイレサワが良い天気です。
同じタイミングで一ノ倉沢の方を見ると、雲がどよーん。
脊梁山脈かどうかの違いです。
日本海側の気候と、太平洋側の気候の境目の山脈なので、新潟のお天気に支配されてます。
目的地に到着!!
ぼんやりとしながらも、岩壁がしっかり見えています。
日本の景色じゃないみたい、と大感動。
一ノ倉沢脇の斜面に、靴で登った跡がいっぱいありますが...おそらくソリで遊んでるのだと思います。
よく見ると、右端に雪崩が起きてますよね。
ここは斜面が小さくて角度が急なので、雪崩というよりは「雪のブロックが落ちてくる」感じです。
が、それも雪崩の一種には違いありません。
右端の雪崩跡は、一ノ倉からの風で出来る雪庇が原因で起きるので、厳冬期の方が大きい雪崩になりやすいです。
さっき言ったことと逆ですが、この場所に関しては右端の雪庇部分以外は春先の雪崩の方が危険だと思ってます。
こうやって、全層雪崩の固い大きなブロックが襲ってきます。
距離感がわかりづらいかもしれませんが、巻き込まれている倒木は人間よりも大きいです。
雪崩というか、落石に近い落ち方をするので、斜面のどこからでも発生します。
僅かに沢状になっている地形の方が大きな雪崩になりやすいですが、それほど大差はありません。
固くなった積雪層が重力で歪んで曲がっているのが見えますでしょうか。
あれがいつか割れ落ちてきます。
氷の塊と同じようなものだと思ってください。
実は、夏道はこの雪崩個所の真下にあったりします。
夏道に沿ってそこを歩く人も多いですし、お尻滑りをやったりして遊んでいる人も見受けますが、あまり良くありません。
ねじ巻きのようになったブナ。
ツルに締め付けられて、普通なら枯れてしまうのですが・・・逆にツルを絞め殺して生き延びました。
何やらおかしいツルを発見!!
なんと、ツルが自分で結び目を作ってます。
オーバーハンドノットという結び目ですね。
これはツルウメモドキの木かな・・・?
このまま成長したら自分で自分を締めて枯れてしまいそう。
登山道からは見えない位置なので、また来年確認してみましょう。
振り返るとヨモギ峠の辺りが見えてきました。
登山もやっていて、馬蹄形縦走やヨモギ峠のこともしっていたナガヤマさん大喜び。
ブナの根廻穴(根開け)。
よく見ると、根っこの隙間に空洞が。
ブナの殻やドングリの殻が入ってました。
リスやネズミの貯食でしょうか。
こちらは、細い木の洞。
ここにもドングリの殻が入ってました。
こういうのを見つけて歩くのって楽しいですよね。
とくにブナの根開けの穴を見て回るのは、残雪のこの時期ならではです。
雪が剥がれやすい岩の周りをよく見ると...
早春の花、ショウジョウバカマが咲きそうになってます。
春スノーシューならではのだいご味ですね。
普段は雪山登山をやっているお客さんですが、まったりとした自然観察系のスノーシューに大喜び。
これなら、雪山に誘ってもなかなか来れない同僚も誘えると、大喜びでした。
一ノ倉沢コース。