谷川岳 西黒尾根。
2015年4月9日 雲海。
西黒尾根ルートで谷川岳登山。
西黒尾根だと朝5時半とかに出発することも珍しくないのですが、今回は仲間うちでの登山だった為結構遅めに出発。
今年はやはり全体的に積雪量が多かった気がします。
鉄塔を過ぎてすぐ辺りの樹林帯でも、この時期でこれだけの雪庇が残ってます。
標高で言えば1000mちょっと過ぎた程度ぐらいなのに。
谷側に大きなクラック(亀裂)。
まるで山頂付近のような雰囲気を漂わせてますが・・・
まだ樹林帯の中です。
標高1300m辺りで森林限界に入りますが、それよりも少し手前のブナ帯。
谷川岳登山指導センターの金子君が、今年3月頃に見回りをしていて3メートル位の亀裂に落ちた登山者を助けたそうですが、話に聞く限り恐らくこの近辺でののことらしいです。
枝先にエビの尻尾がこびり付いて樹氷になってます。
鎖場の通過。
岩と雪のミックスだと、アイゼンでの通過が天神尾根に比べると段違いに面倒です。
ラクダの背に到着。
今日は運が良ければ雲海になるだろうと思っていたのですが・・・
雲の中から山頂が見えたり隠れたり。
この上に抜けさえすれば雲海は確実です。
ただ、天気の変わり易い谷川岳、せっかくの雲海でもすぐに雲が途切れてしまって雲海でなくなることが多いです。
雪庇の上をあえて進む谷川岳の生き字引き、先輩ガイドの中島正二さん。
「お客が居ない時にこういうとこ歩いて、雪庇がどういう風に張ってるかとか崩れてるとこがどうなってるか見るんだよ。それもガイドの経験なんだ」
「その代わり、崩れやすそうになってるところとか、ほんとに危険な場所じゃやっちゃ駄目だからそこはちゃんと区別しないといけないよ」
万一の時の安全確保要員として、私は雪庇上では無い右ルートで移動しましたが、細い岩稜状なので歩くのが大変です。
ここは雪庇の下もずっと雪の塊で埋まっていて、庇状に張っているわけでは無く、樹氷が出来るほど冷えて固まっている状態なので、人が乗った途端に崩れたり踏み抜いて落ちるような心配はありません。
根本に深い亀裂が入っているので、そこを渡る時に落ちないように注意が必要です。
雪の状態、気温から判断して一時的に様子を見る為に中島さんの判断と自己責任で歩いています。もちろん、今日の状態でも場所によっては雪庇を避けて歩いています。
雪山では同じ場所でも状況によって歩く位置が日々変化していきます。
こういうところで、前にここを歩いてセーフだったから次も、誰かが歩いてたから次来た時は自分も・・・という判断をすると・・・落ちます!
雪庇が大きく崩れ落ちた箇所で、雪の具合を眺める。
雲海の中から抜けて、武尊山と手前に先ほどまで居たラクダの背。
この後、この雲海は細かく千切れてただの雲になってしまいました。
しかしそのまま高度を上げていくと
私達が登っていた谷川東側の雲海は消えても、西側の雲海は簡単に消えそうに無いくらい濃いです。
夏に来れば氷河の爪あとが有る辺り。
急斜面です。
同じ場所でカメラの角度を変えてインチキ急斜面写真。
たしか日本百名山の撮影(夏道)でもこれやってましたね。
ザンゲ岩の下の斜面。
西黒尾根をルートが日本三大急登になっている主な責任は、ラクダのコルからここにかけて。
途中でそれまで斜面に遮られていた山頂がいきなり目の前に現れます。
ここからは雪庇は無くなるのですが、深いクラックがルートと交差するように入り、ルートを遮られることもあります。
後ろに至仏山と武尊山。
雲海が消えてなかったら絶景だったかもしれません。
ザンゲ岩直下のクラックが大きく横向きに入る地点。
今年はまだクラックが完全に入っていなかったので、中島さんはクラックとクラックの間の雪が繋がっているルートを、
私は岩と笹帯が雪面と繋がっているルートに分かれて登りました。
クラックが完全に入ってしまうと、写真の深さのクラックを一度降りて登らないとならなくなる場合もあるので状況によっては時間をくったりします。
谷川方面に濃い雲海。
そして、尾根筋の沢状の部分ひとつひとつに流れ落ちる滝雲。
標高が低い谷川岳でこれだけ厚い滝雲が長時間維持されるのは結構珍しいと思います。
俎嵓と雲海をバックに。
西黒尾根ルートは何かで頼まれた時にしか受けてない裏メニューです。
通常コースでのスノーシューハイキングは終了し、ここからは残雪期登山で頑張ります。